労働時間が分からない?

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する馬場です。
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最近では勤怠管理は
クラウドのシステムを
利用している会社が多いです。

当事務所も、事務所に出勤と退勤時に
スマホで入力をして貰っています。

勤怠データがエクセルで出力できるので
便利ですね。

 

ウチでは、給与計算は別ソフトでやっているので
そのエクセルシートを参照する
というプロセスが増えるのですが、

 

勤怠システムに連動している給与計算システムを
使っているなら、そのままデータも連動です。

 

スマホから出退勤入力をする際に
位置情報も記録出来ます。

 

 

このように便利なシステムですが

営業や直行直帰が多い仕事の場合に
本人の入力勤怠情報を
そのまま労働時間として良いのか

は別問題です。

 

今年の地方裁判所の判例ですが・・・

 

外勤務者の労働時間管理が困難ということで
事業場外労働みなし時間制を
会社は採用していましたが


退職社員が、みなし労働時間制が無効と主張して

割増残業代を請求した訴訟です。

 

 

事業場外労働みなし時間制
というのは、一日の労働時間を
〇時間とみなしてしまう制度です。
※業務内容から所定労働時間以上に
実質労働が必要な場合は労使協定が必要

 

 

会社と社員で合意があれば良い
のではなく、一定の条件が必要です。

 

労働者が労働時間の全部または一部について
事業場外で業務に従事し、
かつ、労働時間を算定しがたいこと
(労基法38条の2)

というのが条件です。

 

労働時間を算定しがたい
というのは、結局は総合的な判断です。

労働の性質、内容やその遂行の態様、状況等、
使用者と労働者との間で業務に関する指示及び報告
がされているときは、その方法、
内容やその実施の態様、状況等を総合して、

使用者が労働者の勤務の状況を
具体的に把握することが困難であると
認めるに足りるかという観点から
判断することが相当である」

というのが最高裁判決(H26/1/24)での基準です。

 

この最高裁判例では
労働時間を算定しがたい・・・とは言えない
とした判例なので

今回のケースとの比較が凄く参考になります。

 

会社側としては割増残業代を支払わなくて済む
(もしくは一部にとどまる)ので
制度の濫用を防ぐために、労働時間を算定しがたい
と判断する判例が少ないのです。

 

今年の地方裁判所判例では

外でする業務の内容や
社員側の外での仕事の裁量の多さと
業務についての報告の量や質が足りていない事
が決め手となり

事業場外みなし労働時間制が
認められた事例です。

 

現状の働き方が
事業場外みなし労働時間制を使えるのか

慎重な判断が必要です。

 

 

 

本日も読んでいただき
ありがとうございました。